腎・透析診療部門からのご挨拶
現在、日本には約34万人の透析患者さんがおり、毎年新しく4万人以上の方が末期腎不全のために透析療法を開始しております。
私どもは腎疾患の予防や早期発見、専門的な治療を通じて末期腎不全の進行を抑制しようと日々努力しております。
例えば日々の生活、感染症や薬剤などが腎不全の進行に影響を与える可能性があり、十分な知識を持って適切な管理をさせて頂いております。
また末期腎不全を患った場合、患者さんの生活様式はさまざまであり、それぞれの患者さんにあった腎代替療法をご提案させて頂いております。
私たち白河病院一同は患者さんに寄り添い、ともに考え 安全で質の高い医療を目指しておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。
末期腎不全に対する腎代替療法とは?
一般的に腎機能が10%以下になるか、腎不全症状が出るようになると腎代替療法が必要です。腎代替療法には透析療法と腎移植があります。
透析療法とは?
悪くなった腎臓の代わりを人工的に行う治療です。血液をとりだし透析装置できれいにし血液を体に戻す「血液透析」と、おなかに管を埋め込み透析液を出し入れしきれいにする「腹膜透析」の2種類があります。
血液透析
体外にある透析装置(人工腎臓)に血液を通して毒素や水分を除去するものです。
日本で最も実績のある治療法です。週3回、一回あたり4時間前後の治療を行います。
病院に通院して治療することが必要です。血液透析を行うため、一般的には事前にバスキュラーアクセス(シャント)などを作成します。
緊急時にはカテーテルを使用し透析を行います。
腹膜透析
透析液を腹腔内に注入し血液浄化を行います。
腹腔内に透析液を注入し、一定時間貯留している間に腹膜を介して血中の毒素や水分を除去します。
自宅で行えるので拘束時間が少なく済みますが、患者さんご自身で作業し治療をする必要があります。腹膜炎などの感染症に注意が必要です。
腎移植とは?
ご家族から2つある腎臓のうちの1つをもらい移植する「生体腎移植」と、亡くなった方からいただく「献腎移植」があります。移植が可能な施設と連携し円滑な治療を支援します。
シャントの造設
血液透析は透析器(ダイアライザー)に血液を送り、老廃物や余分な水分を除去します。そのためには十分量の血液を送るルートが必要です。
一般的には手首付近の動脈と静脈を手術でつなぐ、シャントとよばれる血管をつくる必要があります。
ほかにも動脈の位置を変更する動脈表在化、カテーテルとよばれる管を体に埋め込む方法などがあり、これらを総称してバスキュラーアクセスと呼びます。
バスキュラーアクセスのトラブルに対応できます
シャント血管は経過とともに細くなることがあります。シャント血管を作ったあと約20%の患者さんは5年間のうちに何らかの治療が必要になるといわれております。
VAIVT(バスキュラーアクセスインターベンションセラピー)は先端に風船がついた管(バルーンカテーテル)をいれ、細くなった血管を風船で広げる血管内治療です。外科的な再手術と比べ短時間で治療ができる利点があります。必要に応じて血栓溶解、吸引、ステント挿入などを行います。
患者さんによって外科的な再手術か、VAIVTが適しているか判断します。
なお、当院ではシャントを作ることが難しい患者さんに、長期留置(カフ付き)カテーテルの挿入も行っておりますのでご相談ください。
合併症対策
透析患者さんは長期的にさまざまな合併症をきたします。
早期発見や予防対策として上部・下部内視鏡や頚動脈・腹部・心エコー検査、CT・MRI検査、骨検査など各種画像検査を用い、より正確な診断と専門的治療を行っています。
フットケアの取り組み
糖尿病や長期透析患者さんの下肢壊疽(正常組織が腐敗すること)は小さな足の傷から発生することが多く、足の手入れ(フットケア)が重要視されております。下肢の動脈硬化が進行した場合
血行不全(下肢末梢動脈疾患:PAD)が生じることがあります。
重症化した場合はCLI(重症下肢虚血)と呼ばれ、その後の生活・生命にも大きく影響を及ぼします。当院では医師、看護師が下肢を診察し、ABI・SPP、造影CTを用いて評価を行うことで、患者さんの健康な 『あし』 を守っています。
管理栄養士の取り組み
活動的な透析生活を送るためには質の高い透析に加え、適正な食事管理が重要です。
管理栄養士が積極的に相談・介入し、より良い生活を送れるようにサポートしています。
基本メニュー
・ごはん
・豚の生姜焼き
(温野菜添え)
・青菜としめじのゴマ和え
・こんぶ豆
・浅漬け
透析食メニュー
・ごはん
・豚の生姜焼き
(温野菜添え)
・青菜としめじのゴマ和え
・こんぶ豆
・マカロニサラダ
少し変えるだけで良いのです。詳しくは栄養科にご相談ください。
②良質なたんぱく質を適切に取りながら、リンとカリウムを減らす
③減塩をし、水分を制限する
感染症対策
当院では適切なガイドラインのもと感染対策をし、安全な透析を行っております。
また、昨今の新型コロナウイルス感染においては、日本透析医会、新型コロナウイルス感染対策ワーキンググループのマニュアルに準じ感染拡大防止を行っております。
1. 医療者は手指消毒、グローブ、ゴーグル、サージカルマスク着用を徹底し、院内感染の予防に努めております。患者さんにも来院時に手指アルコール消毒、手洗いおよびマスク着用(サージカルマスク以上)をお願いしております。
2 .当院スタッフは検温および健康観察を毎日行っております。
患者さんにも日々の検温、健康観察の記録を持参していただいております。来院前に発熱や感冒症状を認めた場合は、事前にご連絡を頂き、来院時間および交通手段の変更や個室・隔離ベッドを使用する など感染拡大防止に努めております。
3. 入院および外来ベッドの配置分け、ベッド周辺、透析機器の消毒を徹底し、院内感染や感染拡大防止に努めております。
4. 透析施設は24時間換気と積極的な外気の入れ替えを行うとともに、業務用高性能空気清浄機設置のほか、隔離ベッドには個人用空間除菌消臭装置を設置しております。
概要
1. 血液透析は月曜日から土曜日の2クール (午前の部・午後の部)を行っております。
透析診療時間 午前7時40分~午後5時20分
休日および夜間の緊急透析に対応しています
2. 主治医別、受け持ち制で主治医ごとに担当看護師がおります。
常勤医師(4名)、看護師(18名)、臨床工学技士(12名)、管理栄養士(2名)がチーム医療をおこないます。
3. 腹膜透析外来は第2水曜日に行っております。来院時間はご相談ください。
4. 当院透析部門は、福島県県南地区において最大の透析施設(最大透析患者数 260名)です。
透析監視装置内訳
通常部ベッド透析監視装置 | 62台 |
個人用透析監視装置 | 1台 |
(入院)ICU個人用透析監視装置 | 2台 |
外来ベッド内訳
通常ベッド | 52床 |
パーテーションベッド | 10床 |
個室 | 1床 |
無料送迎バスのご案内
白河病院では送迎バスを運行しております。
透析の通院には送迎車両(バス・ワゴン車・乗用車)計11台を用意しております。
現在、市内・西白河郡・東白川郡・石川郡・那須方面の運行をしております。
また、今後あらたなコースの送迎も検討しますので、ご相談下さい。(窓口は地域連携室になります)